第6章 春の虹
だが、考えても考えても答えはでなくて。
俺は、なにか気に触ることを言ったんだろうか、とまで、真剣に悩んだ。
ご馳走したメニューに問題があったのだろうかとも考えたが、そんなわけないよな、とすぐに打ち消した。
美味しい、と微笑んでいた彼の顔は本物だったと信じたい、と思う。
「………なぁ」
参考までに聞いてみようか。
八方塞がりな俺は、ヒントになればいいかな、くらいのつもりでヨコに問いかけた。
ヨコは、うん?と頷く。
「俺じゃなくてさ。俺の友達に相談うけたんだけどさ」
………ただ、自分の事として話す勇気はない。
「おう」
「なんかさ、ある日一緒に遊んでいた相手がさ、ずっと楽しそうだったのに、最後に綺麗な夕陽見せたら泣きだしたんだって。それってどんな心理だと思う?」
「………つきおうてんの?その2人」
「………いや」
上司と部下だなんていえない、と思ってたら、ヨコは簡単やん、と即答した。
「ほんじゃ、泣いた相手が、そいつのこと好きなんちゃうん」