第6章 春の虹
「は…………?」
好き??
俺は目が点になる。
……………そんなわけ……ないじゃん。
「………その2人、男だよ」
上司と部下、だよ。
小さく否定する。
すると、ヨコは、かーーーっと叫んで首をふった。
「なら、なおさらやんか。男同士上等やん。絶対、泣いた子そいつが好きやねんて!」
「………いや、いやいやいやそんなわけ……」
「ある。むしろ、相葉ちゃんなら、その気持ちわかるん違うん」
ヨコはきっぱり言い切った。
俺は、思わず口をつぐむ。
「………抑えてる想いが溢れた。それが涙だ、と思わへん?」
「………」
「ま。あくまで俺の想像やけど」
「………特殊な想像だね」
「意外とあたるねんで。俺のんは」
ヨコは、ふふんと笑う。
俺と昌宏さんのことをリアルタイムで知ってるのは、社歴が古いヤツだけ。
ヨコは、後輩とはいえ、俺とそんなにかわらない。
それこそ俺が昌宏さんに片思いしてるときから知ってるから、俺の事情を1番理解してる。
男同士というハードルを、関係ない、と一番最初に蹴ってくれたのは、こいつだ。
同時にこの恋の難しさと切なさに、一緒に悩んでくれたのも……こいつだ。