第6章 春の虹
Aiba
「どしたん相葉ちゃん、悩み事か??」
「え?」
我に返る。
パソコンの画面越しに、ヨコの真顔がぬっと現れた。
俺は、苦笑して、キーボードにはわせた指をカタカタ動かしながら否定した。
「……別に。なんで?」
「や。最近、ぼんやりしてる事が多いな、と思ってな」
……そんな周りに分かるような態度してたか、俺。
心中で絶句していると、ヨコは得意そうに鼻をふくらませた。
「ゆーてみ。俺が解決したる。なんや腹でもこわしとんか?それとも水虫にでもなったか?」
「そんなんじゃないよ……」
俺は笑った。
ヨコに説明なんてできない。
最近の俺の脳裏を占めるのは、二宮くんだなんて。
あの日、夕陽を見に二宮くんを連れ出したのはいいものの、その美しい光景を見た途端、彼は泣き出した。
それまではずっと嬉しそうに、楽しそうにしていたから余計に気になる。
あのタイミングで泣いたのはなんでなんだろう?
………その意味をずっと考えてる。