第6章 春の虹
相葉さんが戸惑ってるのがわかる。
そりゃそうだ。
夕陽見てグズグズ泣く男がどこにいんだよ。
キモイよね。
俺は自分につっこみながら、
「……す…みません」
なんとかそれだけ言って、腕で顔を隠すように涙をふいた。
幸せすぎる状況に対して想いを伝えることのできない現実と、いつまでたってもそんな恋しか出来ない自分の情けなさに、心がオーバーフローをおこした。
でないと、この涙の説明がつかない。
好きすぎて、泣けるなんて。
「………二宮」
「…………っ」
相葉さんの大きな手のひらが俺の背中にのり、俺は一瞬体を強ばらせた。
だけど、相葉さんは、かまわずに、そのままゆっくりと俺の背中をさする。
そして、静かにこう言った。
「……俺さ、お前の力になれるなら、なんでもするからね」
「…………」
「だからなんかあったら相談しろよ?」
「…………」
俺は、こくんと頷く。
とても相談できることではない。
でも、相葉さんが優しい言葉をかけてくれた、ただそれだけで、嬉しかった。