第6章 春の虹
体が引き裂かれるような悲しみのなか、なんとか立てていたのは、智の存在も大きかった。
昌宏さんの葬儀で、初めて出会った彼の宝物。
その子は、たった1人の肉親を亡くし静かに涙していた。
そのとき、瞬間的にこの子………智は俺が守らなきゃ。と思ったのだ。
それから懸命に生きてきて……いろんなことがあって…いま、智が共に人生を歩む人を見つけて幸せに過ごしてるのをみて、心からよかった。と思える。
でも、智を潤に託し、今、自分がほんとに1人になって感じることは。
………昌宏さんに会いたくて会いたくて、涙していたときとは違う自分の気持ちへの戸惑いだ。
今も愛しているのは昌宏さん。
それはかわらないはずだ。
だが、こうやって自分自身が弱っているときに、ある1人の人物がいつのまにか胸を占めてきているのに気づくのだ。
茶色い瞳で、真っ直ぐに俺を見上げて、微かに笑って。
時には芯の強さを感じさせる口調で、力強く物事を運ぶ。
こうやって夢に昌宏さんをみても、起きると、彼……二宮くんはどうしてるだろうと、思ってしまう。