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Attack 《気象系BL》

第6章 春の虹



「………あの」


でも、二宮くんは何かを言おうとしていて。
俺は、うん、と頷いてその言葉の先をじっと待った。

やがて、二宮くんは呟くように小さく言った。


「……………俺、サトの幼なじみなんです」

「うん…そうみたいだね」

「昔からずっと知ってて……」

「うん」

「ずっと…………ずっと…俺、あいつを好きだったんです」

「……………そう」


小さい小さい独白。
でもこれを言うのに、いろんな怖さを乗り越えて発せられたものだと俺は理解する。

男同士ということ。
彼らが幼なじみという状況。
俺が智の親代わりという立場。

いろんなことを考えて……でも…それを俺に話そうとしてくれてる。
俺は真剣に、でも一緒に重くならないように気をつけながら、その先を待った。


「…………俺……告白したんです。けど、ちゃんとふられてなくて」

「………」

「いつのまにか…松本がサトの隣にいて。俺……かなわないって思って……逃げちゃった」

「………」

「で、そのままなんです。だから……すごくあいつらへの気持ちが中途半端で」

「…………うん」

「それで……あと、俺、あいつにひどいことしちゃって……」


「………うん」


そこで、二宮くんは小さく息を吸った。
その何か覚悟を決めたような雰囲気に、俺も知らず緊張してると。


「………………無理矢理…サトを抱きました」



………………マジか



懺悔のような一言。

予想以上の変化球に俺は息を飲んだ。


……きっとこれが二宮くんの1番つかえてる気持ちなのだろう。

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