第6章 春の虹
Aiba
智と潤の気持ちはとても嬉しかったが、二宮くんのことが気になってしょうがない俺は、明日早いという理由で、2人をいつもよりだいぶ早めに帰らせた。
それでも1時間は経過してる。
玄関で彼らを見送ってから、俺はダッシュで寝室に向かった。
「ごめん…おまたせ………?」
すらりと引き戸をあけて部屋を見渡す。
一瞬二宮くんがどこにいるか分からなかった。
「あ…係長」
声があがった方をみると、壁にもたれて背を小さくまるめて座ってる二宮くん。
すりガラスにうつりこまないように、じっとしていたのだろう。
心細そうにこちらを見上げた潤んだ瞳が、
……………………。
なんだかめちゃくちゃ可愛くみえて、ドキリとした。
「あの……」
「あ、ごめん。もう2人とも帰ったよ」
遅くなってごめんね、と、いうと、二宮くんはフルフル首をふって、頭を下げた。
「こちらこそ…俺のせいで、急がせちゃってすみませんでした」
「気にしないで。先に俺の家にいたのはおまえだよ。おいで。ココアいれてあげる」
「はい…」
二宮くんが、ゆらりと立ち上がった。
その所在なげな視線と佇まいの儚さに、俺は一瞬抱きしめたくなって、
……………え……
そんな自分に戸惑った。