第6章 春の虹
Kazu
横山さんと勝利さんが帰ってしまったのは残念だけど……正直、相葉さんと2人で飲む展開になったのが嬉しい自分もいた。
もちろん4人でも楽しい。
ずっと笑っていられる。
でも、相葉さんと2人になったときのこの安心感というか……ワクワク感というか。
この人が今まで会ったことのないタイプなのは間違いなくて……何だか元気になれるんだよね。
パワーをもらえるというか。
この人との空気感は嫌いじゃない。
「ねぇ、二宮は何が好き?」
「え?」
くるくるかわる相葉さんの表情をみていたら、肝心なところを聞き損ねた。
「えと……なんですか」
「なに、聞いてなかったの?」
落ち着いた大人の男性なんだけど、こういう素が出る飲みの席は、相葉さんはちょっと子供っぽくなる。
俺は、すみません、と笑った。
「だからさ、ケーキ。二宮は何が好き?ショートケーキ?」
「……ケーキですか」
ケーキか……
甘いのはあまり得意じゃない。
けど、あえて言うなら、
「チーズケーキ…かな」
「ふうん…そっか」
相葉さんは、うんうんと頷いて、
「んじゃ食べにいこ」
と、伝票を手に取った。