第6章 春の虹
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かくして時は金曜日。
「かんぱーい」
「ニノ、誕生日おめでとう!」
「…ありがとうございます」
「今日はおまえは支払いなしだから、好きなだけ食えよ」
「ほんまか!相葉ちゃんゴチです!」
「ばか。おまえらは割り勘だよ!主役だけだ」
「えーー」
「横山さん……それは当たり前でしょ」
俺と勝利の総ツッコミに、ヨコは、てへっと笑う。
二宮くんが、クスクス笑ってるサマはなんだか可愛らしい。
野郎ばかりの誕生日会という名の飲み会は、いつもの居酒屋で行われた。
KINGでって、ヨコが言い出したら止めてやるつもりだったけど、
『あんまり大きな声出されへんしなぁ』
って、自ら却下していたから、ほっとする。
……また、もし、万が一にも智と潤に会うと、二宮くんが少し困った感じになりそうだから、よかった。
後から智に聞く話によると、あそこが、学生時代の彼のバイト先だったらしい。
どうりで、バーテンダーの男の子たちとも打ち解けた感じで話してたはずだった。
カジュアルバーで働いてるとは聞いていたけど、あんなにお洒落なところだったとは。
でも、だからこそアイツらがあの店に行く頻度は比較的高いみたいで。
もしあそこで、もう一度飲み会をしたいとヨコが言い出したら、それは、二宮くんがいない時の方がいいだろうな、と密かに思ってる。
「おまえ、それアルコール違うんちゃうん。ええのん?」
「はい」
二宮くんが口をつけてるのは、前に俺が教えてやったゆずソーダ。
美味そうにコクコク飲んでて、見てる俺もなんだか嬉しい。