第6章 春の虹
俺は、一生、昌宏さんのものだ
もちろん、彼以外の誰とも深いつきあいになるつもりはない。
家族もつくらない。
ないのだけど…時々…最近…一人が寂しい自分に気づいて、愕然とする。
だって、昌宏さんがいなくなってからも、智が時々うちに泊まりにきてたし、途中から潤も乱入したりして、ワイワイやってたから、気が付かなかったんだよな。
……1人で晩酌してると、無性に人恋しくなることに。
智と潤が2人で暮らすようになってからは、2人がうちにくる頻度は格段に減った。
それは当たり前の流れだ。
2人とも社会人になったし、2人だけの生活を始めてるのだから。
つまり……俺だけが、昌宏さんを失ってからそのまま時がとまってるのだろう。
ヨコと勝利の漫才を、にこにことみてる二宮くん。
彼がコロッケを食いにきてくれたときは…嬉しかった。
彼は、土足で俺の心に踏み込んでこないと、意味もなく直感的に信じてたし、実際、俺の事を知っててもまわりに黙ってた。
信頼できるに足る男だなぁ…と思う。