第6章 春の虹
仕事の合間に、自販機コーナーで休憩がてら立ち話をしてるのだが。
自然とこの4人でいることが最近多いな、と思う。
飾らないヨコと無邪気な勝利。
……一生懸命な二宮くん。
俺の育てる後輩たちは、いい子ばかりだな。
温かい気持ちで3人を見つめてると、
「横山さん彼女つくんないんですか」
彼女でもできれば、部屋も綺麗になるのに…と、勝利がからかい始めた。
「いや、もう彼女はいらんわ。もうこんなに1人で暮らしてると、誰かと生活できひんもん」
コーヒーの入る紙コップをずずっとすすり、ヨコは肩をすくめた。
勝利はあーあ、と天を仰いだ。
「そんなん言ってたら、ゴミ屋敷になっちゃいますよ。ね。係長は、遠距離ですもんね~、彼女さんがある日帰ってきた時、部屋が汚いとダメだから意識違いますよね」
不意に、またこっちに話を振られ、俺は
「ふふ…まぁね」
と、曖昧にうなずいた。
ヨコは、ちらりと俺をみて、勝利に向き直る。
「……そういう勝利は?おまえ、合コンとか行ってへんのか」
「……行く暇ないですよ!ずっと横山さんと夕飯食べてるのに」
「あは。そやったな」
「そやったな、じゃ、ないでしょ!」
漫才が始まり、話題がかわる。
俺の事情を知ってるヨコと、二宮くんが俺の話に触れてこないのは、彼らの気遣いで、正直ありがたい。
昌宏さんとの関係は、隠すつもりはないが、言いふらすようなものでもない。
俺は、ごくんとブラックを飲み干した。