第4章 夕虹
Satoshi
高級ホテルのこの部屋の空調は、涼しすぎるくらいの温度に設定してあるはずなのに、暑くて汗がとまらない。
額に浮かぶ汗の玉が、こめかみに向かって、次々にながれおちてゆくのが分かる。
「あ……ああ……あ……」
「気持ちいいかい……?」
「あ……ん……気持ち……い」
喘ぎ続けて、もう喉もかれた。
カスカスの声であんあん言ったって、色っぽくもなんともないだろうな、と、どこか冷静に思いながら、熱いもので突かれるたびに、自然と声が漏れるのがとめれなくて。
結合部も、俺のものも、なんだかよくわからない体液とローションでびっしょり濡れてて、気持ち悪いはずなのに、しびれるような快感が上回る。
無駄に柔らかなマットレスのベッドに沈められて。
揺さぶられると、スプリングがよくきいてるから、高く抱えあげられた俺の足が、相手の動きにあわせるようにゆらゆら揺れていて。
それだけを霞む目で見つめてた。
……そろそろ持たない……
「……も……だめ……」
「イきそう……?」
ギブアップすると、嬉しそうに問われて。
仕方なくコクコクと頷いた。
今日の客は、中の上くらいの金持ちの親父。
今のところひどいことはしてこないから、このまま我慢してれば終わる。
たまに、まだダメだ、と前を握るSっ気のあるやつとかいるけど。
「……じゃあ、これでフィニッシュだ」
宣言されたと思ったら、いきなり鋭く突き上げられた。
「んっ……ああっ!」
腹が破れる……!