第6章 春の虹
「………うまい」
思わず心の声がでてしまう。
サックサクのホックホク。
このクリーミーなじゃがいもの味はどうやって出してるのか。
箸がとまらなくて、ひたすら口を動かしてると、
「ほんと?よかった」
相葉さんが、声を弾ませた。
「練乳が隠し味なんだ」
「練乳?……練乳なんか入ってるんですか?」
俺は目を丸くして、コロッケをまじまじとみつめた。
料理は、一人暮らしの時に少しだけしたけど、そんな凝ったものとは無縁だ。
だいたい、練乳なんか、かき氷にしか、かけたことないぞ。
相葉さんって、本気で料理する人なんだ、と思った。
「…すごいですね」
俺が心から呟くと、相葉さんはますます嬉しそうにした。
「そう?…ふふ…久しぶりに褒めてもらえると、なんか照れくさくなってきたな」
「………美味しいです。とっても」
「ありがとね」
ニコニコしてる相葉さんは、子供みたいに得意げで、なんだか可愛くすらみえる。
俺も嬉しくなり、早くも二個目のコロッケに手をつけた。