第6章 春の虹
「若いでしょ?俺」
ふいに後ろから声がして飛び上がる。
相葉さんが俺の後ろで、にこりと笑ってる。
「あ…すみません、勝手に」
「ううん。いいよ」
相葉さんは、その写真の中の2人の仲睦まじい姿を懐かしそうに見つめた。
俺は思わず問いかける。
「…どれくらい前の写真なんですか?」
相葉さんは、そうだなぁ…と、記憶をめぐらせてる。
「……15年くらい前かな」
俺は、素直に感想を言った。
「幸せそうですね」
「うん。幸せだったよ…」
といってから、相葉さんは、あ、と言って焦るような表情になった。
「二宮は、俺のこと…ってか、俺の事情、知ってるよね?」
「………」
恋人が男である事なのか。
その人が亡くなってる事なのか。
はたまた、彼がサトの父親である事なのか。
きっとそのどれもなのだろう、と、思った。
俺は、はい、と静かに頷いた。
「サトから…聞いた事だけですけど」
「…そっか」
相葉さんは、ホッとしたように深く微笑んだ。