第6章 春の虹
「ほんとにすみませんでした」
会社をでて、一緒に帰りながら、何度も頭をさげる俺に、相葉さんは、
「もういいよ。ミスは誰にでもあるんだからさ」
と、優しく諭してくれる。
だけど優等生でやってきた俺は、こんなミスしたことなくて。
こんなに優しくされると、どうしていいか分からなくなってしまう。
時間は九時をまわった。
疲れて腹も減ってるだろうに。
そう思った俺は、
「あの…係長。ラーメンいきませんか」
「え?」
「腹減ってるでしょう。俺、お詫びにご馳走させてください」
「え、いーよ。そんなん」
「俺の気がすまないんです」
「いいって」
「お願いします!」
俺があまりにペコペコするから、相葉さんは困ったように頭をかいた。
そうして、うーん…と、言って、
「じゃぁさ。俺のお願いきいてくれる?」
いいこと思いついたように顔を輝かせたから、俺はなんでもききます!と、力強く頷いた。