第6章 春の虹
金額がずらりと並んでるその表の横に、赤のボールペンで記された正しいと思われる数字。
………しまった
いつもならしないような凡ミス。
だが、先方から、納期を急いでいるからと急かされ、チェックが甘いまま、提出してしまったんだ。
ー…どうしよう
一つ一つの金額は小さいとはいえ、間違いは間違いだ。
会社に損失が発生する。
しかも決済まですべて終わってる件だから、今さら修正はきかない。
「……まぁ、俺にも責任はある。相葉が目を通したなら大丈夫と思い込んで、そのまま通したから」
青ざめた俺に、部長はほんの少しだけ声音を緩めた。
「すみません。俺がちゃんと気づいていたら」
相葉さんが礼をしながら謝罪してる。
俺もあわててその横で頭を下げた。