• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第6章 春の虹



あー、食った食った、と相葉さんは、細いお腹をさする。

痩せの大食いって言葉はこの人にピッタリだろうな。
横山さんたちとも食べてきてるはずなのに、俺以上に食べてたし。


「あの…ご馳走様でした」


そして、結局全額相葉さんが払ってくれた。

俺が、恐縮しながらお礼をいうと、相葉さんはニコリとして、首を振った。


「単に二宮とメシが食べたかったんだ。こっちこそ突然おしかけて悪かったね」

「いえ…そんな」

「ゆずソーダ。うまかったろ?」

「はい。次からあれにします」

「ふふっ。俺らと一緒のときは無理に酒を飲まなくてもそれがいいよ」


アルコールがあまり得意ではない俺に、気をつかってくれる。
俺は頷いて、ゆっくり歩く相葉さんに並ぶ。

自棄になっていたのは確かだ。
酒に逃げようとしてたのも確かだ。

でも…相葉さんの人柄のおかげで、全てが昇華した気分だ。

俺の醜い妬みや恨みは、お門違いなのだと今さらながら納得できた。
だって、あれから何年たつ?
しかも向こうは俺をなんとも思ってないのに。

まさしく独り相撲ってやつだ。

相葉さんが俺なら…きっとサトたちに笑って、「やぁ」とでもいうに違いないな。

…今の俺には、笑うのは無理だけど、目をあわせることはできるかもしれない、と思った。

相葉さんみたいな人間になりたい、と思った。

/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp