第6章 春の虹
相葉さんは、よく食べて、よく喋って、よく笑った。
俺は相葉さんの食欲につられるように、豆腐を食べ、唐揚げを食べた。
「これこれ!これが美味しいんだ」
ぬるくなったビールのかわりに、相葉さんが俺にゆずソーダをオーダーしてくれた。
甘酸っぱくて、サッパリする。
「ほんとだ…美味しいです」
「でしょう」
俺がくすっと笑うと、相葉さんも何だか嬉しそうに笑った。
……助かる……かも。
俺のさっきの急な用事はなんだったのか、などと、いっさい詮索してこない。
どう考えても変な態度だったのに、気にしないでいてくれる相葉さんの優しさを、とても嬉しく感じた。
最初は、どういうつもりなんだろう…と、少し構えていたが、そんなことどうでもよくなるくらい、相葉さんは自然体だった。
「ねぇ。ピザ頼んでいい?」
「まだ食うんですか??(笑)」
「いいじゃん。ハチミツかけるやつにしよ」
「ええー…俺、スタンダードなやつがいいなぁ」
「馬鹿だな、これがうまいんだよ。すいませーん!」
「え~!」
そして、そんな相葉さんのおかげで、俺の黒いモヤモヤした気持ちは、帰る頃には綺麗になくなっていた。