第6章 春の虹
「へ?なんで?」
あっけにとられたような顔をしてる横山さんと勝利さん。
相葉さんだけは、戸惑うような表情をしてる。
おかしいよね。
でも我慢できない。
「すみません。失礼します」
俺は、早口で言って、カバンを手に小走りで店を横切る。
あの2人がこちらを振り向かないことをひたすらに祈った。
過呼吸になりそうなほど苦しい胸をおさえながら、フロアスタッフに頭をさげて、外に走りでた。
そのまま早足で、繁華街にでる。
ひたすらに、歩いて歩いて。
一駅分くらいの距離を、脇目も振らずまっすぐ前を向いて歩いて。
………
駅についてようやくホッとして……歩調を緩めた。
大きく息を吐く。
スーツ…着てたな。
どこに就職したのだろう。
相変わらず細かったな。
ちゃんと食ってるのかな。
…………いや。
自嘲しながら首を振った。
俺が気にすることじゃない…か。