第6章 春の虹
………会いたくない
そう思ってしまった俺は、すぐに2人から目をそらし、体勢をもとにもどした。
傍らから何も知らない横山さんが、メニューを見ながら聞いてくる。
「ニノ何飲む?」
「…俺、生…にします」
ビールでいいや……
それからみんなは、何を食おうか、と、再び相談を始めた。
なんとなく加わりながら、平静を保たなくちゃ、と思うのに、指先がどうにも震えるので困った。
俺、ものすごく動揺してる。
………息…苦し
息苦しくて、浅く呼吸を繰り返す。
2人とはお互いに背を向けてるし、こっちは、1番奥のテーブル席だ。
薄暗いし、気づかれることはないはずだ。
でも、同じ空間にサトと松本がいるというだけで…ダメだった。
吹っ切ったと思っていたのに、いざ本人たちを前にすると、こんなにも動揺するなんて。
自分が1番驚いていた。
「二宮?どした?」
突然押し黙った俺に気が付き、相葉さんが心配そうにのぞきこんでくる。
きっと、この人はまだサトたちがいることに気づいてない。
出るなら今だ、と思った。
「すみません、俺…急用があったの忘れてて」