第6章 春の虹
メニューを開くと、わりとフードも充実してる。
簡単なつまみくらいしか無いのかと思っていたら、驚いた。
「すご、アヒージョもあるじゃん」
「このチーズの盛り合わせがいいなぁ」
「俺、マルゲリータが食べたい」
頭をつきあわせてひそひそと相談する。
みたところアルコールも種類は豊富みたいだ。
弱めのやつがいい、と考えた俺は、横山さんのお知り合いの健ちゃんとやらに軽いカクテルを作ってもらおう、と思った。
健ちゃんって、どんな人なんだろうな、と、何気なくバーカウンターを振り返る。
そのとき、唐突に目に飛び込んできたのは。
え……
カウンターの端に座るスーツ姿の2人組。
…………マジ
バーテンダー交えて3人で、しゃべってる。
1人は少し猫背気味の小さな背中。
茶色に染めてる髪は柔らかに流されていて。
隣に座る男は、黒髪くせっ毛。
あの頃より、少し長めで…肩幅が広くて。
俺なんかより、よっぽど頼りがいのある大きな体をしてて。
……なんで。
こくんと息をのむ。
なんで、いんだよ。