第6章 春の虹
大きな扉をそっと開くと、静かにジャズの音色がもれ聞こえてきた。
照明を少しおとしたその空間は、意外と広く、あまりガヤガヤしてないように思える。
ひと目で、騒ぐには場違いなとこだと判断する。
いつもの居酒屋とは違いすぎるじゃん。
ー…え、横山さん声でかいのに大丈夫?
俺が、思ったのと、相葉さんが思ったことは同じだったのだろう。
「雰囲気よすぎない?俺ら入って大丈夫なの?」
相葉さんがヒソヒソつっこんだら、横山さんは、大丈夫!と胸をはった。
「こないだ来た時に、ここのバーテンダーと仲良くなって、また会社のやつ連れてきますって言うてんねん」
「ほんと…?」
疑わしい眼差しをする俺らには気にもとめず、横山さんは、行くで、と、さっさと中にはいってゆく。
その横山さんに、フロアスタッフとおぼしき青年が、すっと寄ってきて、いらっしゃいませ、なんていうから、出るに出れなくなり、仕方なく俺らもゾロゾロついて入った。