第6章 春の虹
「そうだ、ヨコがさ、今日飲みに行くって言ってるけど。二宮も来ない?」
「…ありがとうございます」
社交的な先輩方は、あれからもちょくちょく飲み会に誘ってくれていた。
前の職場は、こんなに飲みの席は多くは無かったから戸惑ってしまうが、社会人としてのお付き合いのひとつと考え、俺も出来る限り参加するようにしている。
だが、不思議なもので、そうやって共に食事を繰り返すことで、仲が深まってゆくのは必然であった。
今では、横山さんを始めとする元気な先輩方には、ニノと愛称で呼ばれてる。
智のほかにそんな呼び方する人はいなかったから、なんだか気恥ずかしいけれど。
「じゃあ、5時ピタで仕事終わらすよ」
相葉さんは、最後のチキンを口に押し込み、水のコップを手にした。
この早さで、あの量をすべて平らげるのって、もはや神業だ。
…やっぱり若いなぁー…
相葉さん、年誤魔化してない?
いっそ感心しながら、俺も、蕎麦の入ってた器を手に
立ち上がった。