• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第6章 春の虹



******

桜が散り、緑が深くなり、季節は梅雨へと移り変わる。

得意先から戻った俺が、遅い昼食をとってると、


「隣いい?」

穏やかな声がふってきた。
俺は、すすってた蕎麦をごくんと飲み下し、顔を上げる。


「…係長」


相葉さんは明るくニコリと笑い、お疲れ、といいながら俺の横に、よいしょ、と、腰をおろした。


「遅い昼飯だね。忙しかったのかい?」


いいながら、相葉さんは、味噌汁に手をのばす。
トレーの上には、チキン南蛮と山盛りのご飯。
俺よりだいぶ年上のはずなのに、食うものは俺より若いな、と思った。

なんだか笑える。


「……ん?」


黙ってしまった俺に、相葉さんは、わんぱく坊主の如く口いっぱいに肉を頬張りながら、俺を覗きこむから、もっと笑いがこみあげた。

最近分かってきたのだが、この人は、落ち着いてるようで、意外とセッカチ。


素敵な大人な男性なのに、こういうとこ子供っぽい。


俺は水の入ったコップを相葉さんに差し出して、今日取ってきた契約を説明する。


「はい。ちょっと大きな話がまとまりそうで」

「ほんと。よかったじゃん。どこ?」

「Y商事です」

「そっかー」


相葉さんは、自分の事のように嬉しそうに笑った。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp