第6章 春の虹
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俺の右肩にかかる重み。
不思議なもので、重いなとか、熱いとか、離れろ、とか……もちろん、うざいとか、そんな感情は一切出てこなくて。
ただただ、1日中必死に俺についてきて、頑張っていた彼が、酔っているとはいえ、無防備な姿をみせてることにあったかい気持ちになった。
智の友達ってこともあるかもしれない。
……そう、父親のような気分になるんだ。
俺は、ふっと笑い、窓の外に視線をやった。
タクシーは華やかなネオンの輝く眠らない街をぬけ、日常の生活の風景に変わりつつある道を走っている。
タクシーなんてめったに乗らないから、なんだかどこかの社長にでもなった気分だ。
もうすぐ着くかな……
俺の住む場所から、一駅ほど離れたところが二宮くんの家の住所だ。
実家に帰ったっていってたし、送り届ける場所はそこで間違いないだろう。
考えてみれば、二宮くんは智と同じ高校だったわけだから、俺の活動範囲に住所があってもおかしくない。