第6章 春の虹
泣き上戸は扱いづらいし、絡み酒も面倒だ。
だが、寝るパターンも困るもんだな……。
結局、お開きになるまで、二宮くんは起きることなく、すやすやと寝続けた。
こんなにアルコール弱いなんて意外だ。
肩をゆすると、途切れ途切れに覚醒はするものの。
「二宮」
「……ふぁい」
「お開きだぞ。帰れるか」
「……帰れまっす」
ユラユラしながら、右手をあげて、ふへっと笑う。
「……ダメだこりゃ」
酔っぱらいのお手本みたいなその様子は、明らかに一人で帰れそうにない。
「相葉係長、俺、こいつ送っていきます」
面倒見よさそうな中丸が申し出た。
だが、今日会ったばかりの同僚の家なんて知るわけもないはずだ。
「おまえ、家どこ?」
「えっと……」
最寄り駅を聞いてから、再び、うつらうつらしてる二宮の肩をゆする。
「二宮。免許証みせて」
「……あい」
内ポケットから出したパスケースを受けとり、住所を確認する。
「……ダーメだ。中丸は反対方面だわ」
むしろ、俺の家に近いことに驚いた。