第6章 春の虹
今春の異動のメールがとんできたとき、名前をみつけて、もしかして?とは、思ってた。
二宮は、さして珍しい名字ではないが、メールの文面に表示されてる名前の位置から推察する社歴を考えるに、ちょうど智近辺の年齢だからだ。
……まぁ、例え、それが単なる同じ名字の子だとしても、否が応でも、あの二宮くんを思い出すよなぁ……なんて考えて。
だから、今日、あの頃よりだいぶ大人びた二宮くんをみたときは、ちょっと感動したよな。
立派になって……、と気分は親戚のおじさんだ。
はにかんで挨拶する仕草も、一生懸命に仕事をこなしていこうとする姿勢も、あの頃と印象は全くちがい、何もかも好ましかった。
そんな彼は。
ハイボールを飲んで、グラスをおいて、そうかも……と呟き、ひっく、とシャックリをひとつ。
しばしの静寂のあと、ぱたりと机に突っ伏した。
それがあまりにも、電池が切れるように唐突だったので、
「うわ!二宮!しっかり!」
思わず肩をたたきながら、顔をのぞきこんだら、
「…………すー」
彼は、赤い頬をしてすやすや寝てしまっている。
中丸と顔をみあわせて、苦笑いした。