第6章 春の虹
動揺してしまったのを悟られまいと、平常心を保とうとしたのに、声がひっくり返った。
相葉さんが、くすっと笑った気がした。
ああ……俺はどんな反応したらいいんだ
中途半端に知ってしまってる相葉さんの過去を、知らんぷりするには内容が重すぎて、顔に出てしまう自分が恨めしい。
頭を抱えたくなったちょうどそこへ、お待たせしましたぁ、と店員が追加のオーダーを持ってきた。
タイミングの良さに感謝しつつ、俺は、ありがとうございます!といいながら、それらを受け取り、手早く配る。
そうして、自分の烏龍茶をグビグビ飲んだ。
おもいっきり一気飲みした。
……変な味
グラスから口を離すと同時に、カッと喉と腹が熱くなって。
……あれ
烏龍茶だと思って飲んだそれは、明らかに違うと気づく。
「あれ……これお茶だぞ。二宮?それ、俺のハイボールじゃね?」
中丸の声がふわふわと響き、自分の失態に気づいた。
慌てて配ったから間違えたんだ。
アルコールのキャパがそれほどない俺に、急激に摂取した濃いめのウイスキーは、がつんときいた。
「うん。そうかも」
……言って、グラスをテーブルに置いたとこまでは記憶にある。