第6章 春の虹
俺はスライストマトに箸をのばしながら、たずねる。
「それよりさぁ……亀梨さんってどうだった?」
「……意外と真面目だったよ」
「あの風貌で??」
中丸とこそこそと喋りながら、テーブルの端で静かにグラスを傾けてる亀梨さんを見つめた。
自由が売りの俺らの会社は、髪を染めようが全然オッケーだから、亀梨さんも明るい茶色。
さらにピアスもあけて、ホストみたいな見た目だから……勝手にチャラチャラしてる人だと思ってた。
だから、こんな会にも来ないような人だと思ってたけど。
「それにすごく丁寧だったよ。」
「へぇ……」
人は見た目によらないんだな。
俺は、ジョッキの中身をこくりと飲む。
中丸は、枝豆をつまみながら、はす向かいで笑顔で話を聞いてる相葉さんをちらりと見た。
「そっちは?相葉係長なんだろ」
「うん……」
「優しい?」
「うん。すごく」
「……なんか、あの人マジでできる人らしいぜ?」
「……そうなのか?」
「だから、相葉係長って、ほんとはもっと上の役職もつけるのに、別に出世には興味ないって、昇進試験みたいなのも一切受けないんだってよ」
「……なんで、そんなことしってんの?」
「横山さんがさっき言ってた」
「……そ」
中丸の情報収集能力に舌をまく。