第6章 春の虹
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配属された部署のフロアで挨拶する。
「二宮です。よろしくお願いします」
ペコリと礼をしたら、パチパチと拍手があがった。
さすが、本社だけあって、フロアの広さも社員の人数も、今までとは桁違いだ。
興味津々といったたくさんの視線に、怯みそうになる。
今回の異動で本社に来たのは十数人いるが、俺くらいのキャリアと若さを持つのは、三人ほどであった。
同期ではないが、正直心強い。
実直そうな中丸は同い年。素直そうな有岡はひとつ下だった。
朝、少し話をしたら二人とも飾らないタイプの人間でゲームが好きという共通点があって。
……気があいそうでよかった。
「じゃあ、最初は担当の先輩にそれぞれついてもらって、外回りに、いってくれ」
部長が、俺らをみて、フロアを見渡す。
「えーと……中丸くんには……亀梨」
「はい」
後方にいた茶髪の若い青年が手をあげた。
隣に立っていた中丸が、小さく、げ……と、言った。
真面目を絵にかいたような中丸がつくには、少々チャラい男にみえるが……まぁ人は見た目ではない。