第5章 白虹
ティッシュで簡単に後始末をして、改めて二人でベッドに寝そべった。
豆電球にした部屋は、薄いオレンジ色の光が淡く照らす。
俺は、腕枕をしてくれる松本に、ごそごそと近づき、その肩口に鼻をよせた。
「……大野さん?体。大丈夫?」
あれ。呼び方が戻ってる。
俺は、口を尖らせて、訂正してやった。
「……智」
「あ……えと……智」
「なんで戻るの(笑)」
「……その……ちょっと冷静になったから」
「うん」
「俺なんかが、ずうずうしくないかなって……」
「…………」
なんかモニョモニョ言ってるから、俺は、くすくす笑って逆に言ってやった。
「潤」
「…………」
「潤」
「……うん」
「俺は、呼ぶよ」
「……うん。嬉しい」
「お前も呼んでくれたら……嬉しいけど?」
「……うん。……さとし」
「……もっかい」
「智」
「……もっか……ん」
かわりにキスが降ってきた。
そのまま松本の好きなようにさせてやる。
そんなバカみたいなやりとりすら……いとおしい時間。