第5章 白虹
「はぁ……はぁ……」
「はー……はー……」
しばらく黙って抱き合ったままお互いの息が静まるのを待つ。
俺は、体の熱がゆっくりおさまってゆくのを、ぼんやりと感じてた。
すごくよかった……こんなセックス初めてだ。
いつも相手のひとりよがりの行為で、生理現象としかいえない吐精しかしたことない。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて。
「……智」
「……ん?」
「……どうだった?」
「…………どうっ……て」
聞くか、普通。
俺は、照れながらも、うん、とうなずいてやる。
「……気持ちよかった」
「……俺も。智の中、最高だった」
松本も照れながらそんなことを言う。
可愛いな、と思う。
さっきまでの色気たっぷりな男と違うじゃん……。
俺は心で突っ込みながら、松本の肩に額をおしつけて、くすくす笑う。
「……ふふ……男相手でもできたじゃん……」
「……できたね」
「刺す方だし。普通のセックスとあんまりかわんないでしょ」
「いや……締まりが違う」
松本が大真面目に言うもんだから、思わず吹き出した。
「……それは光栄」