第5章 白虹
それは、大野さんが俺に求めていた誕生日プレゼント。
誕生日が終わる瞬間まで、そばで寄り添うことができたことに改めて礼を言われ、俺は頷くことしかできない。
だって、これは、ほかでもなく俺自身がしたかったことだからだ。
きっかけは、大野さんの言葉かもしれないけど、もともと俺は大野さんのそばに一秒でも長くいたかったし。
……なんなら……許されるなら……触れたいし。
さっきから、どんどんとわきあがってくる自分の欲求に戸惑っていると、俺を見上げ、はにかむ大野さんの桜色の唇が弧を描いた。
「…………」
それが、あまりにも、可愛らしくて……
……あ、もう、ダメだ。
俺は大野さんの背中に這わせてた手を、彼の温かな後頭部にまわし、柔らかな癖毛に指をくぐらせ、ぐっと引き寄せた。
そして、ゆっくりと顔を近づけ……そっとその唇を食む。
少し顔をひき、大野さんをみれば、彼は俺の想像に反して、小さく笑んでいた。
「……いや?」
たずねたら、緩く首をふり、俺にしがみついてる手に力をこめてくる。
俺は、それを承諾ととり、再び顔を近づけた。
大野さんが小さく口を開けた。
迎えてくれるようなそれに、俺はむしゃぶりついた。