第5章 白虹
もんもんとした気持ちを隠したまま、つけたままの深夜番組を見るともなく見てた。
どこまでもフラットな大野さんは、俺の隣でマイペースに水を飲んだり、スマホを触ったり。
時々、でてる芸人さんをみては、面白いねなどと、呟いてる。
でも、いったん意識し始めてしまった俺は、さっきまで二人で一緒に食事をしていた時の気持ちと、今のこの気持ちがあきらかに違う自覚があった。
ソワソワしたこの想い……いったいどう処理したらよいものか。
左隣が熱いよ……。
ちらりと大野さんに目を向けると、タオルドライしたままの、大野さんの髪の毛は、かわいらしいくらいにくしゃくしゃだ。
でもそんな柔らかそうな猫みたいな明るい毛に触れてみたくて。
俺は、無意識に手を伸ばしていた。
「…………!」
大野さんがビックリしたように俺を見上げた。