第5章 白虹
浴室からでてきた湯上がりの大野さんは、頬が赤くて、髪の毛もぬれてて。
なんかいろいろしどけない色気ってものをふりまいてて!
俺は、内心一人大騒ぎだ。
前来たときは、そんな不埒なこと思ってなかったからだろう。
今日の、大野さんは色気の塊にみえてしかたがない。
意識したら余計にそういう目でみてしまいそうで、困った。
「だ……大丈夫!シャンプーでしょ、俺のときはまだ二人分くらいあるなっておもったから!」
上ずった声で、笑ってみせたら、大野さんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「そぉ……?ごめん、詰め替えんの忘れてて」
「ダイジョブダイジョブ」
……ちなみに、これは嘘だ。
シャンプー残りわずかだなって気がついて、でも、大野さんの私物をあんまり使っちゃいけないと思って、……俺は髪の毛はお湯しかくぐらしてない。
リンスだけちょっぴりもらったから、香りはついてるはずだ。
「ふぅ……あっつ」
呟く大野さんは、だぼだぼのスエットででてきた。
あとからきいたら、あれは雅紀さんのものらしい。
彼氏のものを着ている彼女チックだ。
ファスナーを開いた中は、薄いTシャツ一枚で、鎖骨とか、なんかもう……丸見えだ。
勘弁してくれ……
無邪気は罪だ。