第5章 白虹
焦りながらも口にしたコンビニスイーツは、思いの外美味しい。
お……
「……めちゃめちゃうまい」
ちょっとしたケーキ屋並みだ。
俺は、すっかり感動してしまい、キャップを静かに脱いだ大野さんに訴える。
「すっげーうまいよ。ほら、食ってみて」
「……うん(笑) そんな顔してる」
大野さんは、モシャモシャの頭を手櫛でなおしながら、ちらりと俺をみあげ、笑った。
そうして、俺が差し出すタルトに遠慮がちにフォークをいれる。
つやつやの桃の部分を口にした大野さんは、ふわりと微笑んだ。
「……ほんとだ。うまいね」
「ね。コンビニすげー……」
ちょっとしたことでいい。
それらを共有して、一緒に笑いあう。
同じ気持ちで、同じことをする。
そしてそれに、甘い想いも上乗せする。
友達以上の関係って、そうやってつくっていくもんだよね。
大野さんと、ケーキを食べながら、俺はしみじみとその幸せをかみしめていた。
大野さんは俺の時間がプレゼントとかいうけど、これ、俺もプレゼントもらってるに等しいよなぁ。
はたからみりゃ、惚気のようなことを本気で思いながら、俺たちはコンビニで買い込んだ大量の食料を、すべて平らげたのだった。