第5章 白虹
「大野さん……これ。お誕生日おめでとう」
きれいにラッピングされた包みを、松本が、そっと差し出してきた。
俺は、それをじっと見つめ……松本を見上げた。
「……俺に?」
「……(笑)他に誰がいるの?」
松本が、照れ臭そうに、はい、とおしつけてきたから、俺は、感動しながらありがとう、と受け取った。
「あけていい?」
「うん。絶対似合うよ」
「ふふ……ほんと?」
がさがさと開けたら、中からでてきたのは、グレーのニットキャップ。
耳あてまでついたとてもお洒落なものだった。
「わぁ……」
手に取ると柔らかな質感で、とても暖かそうだ。
「嬉しい……ありがとう」
嬉しくて嬉しくて、松本に礼をいうと、松本は、にっこり微笑み、俺の手からキャップを取り上げて、俺にかぶせてくれた。
「ほーら、似合う」
「……ほんと?」
「……うん。大野さんって、意外と帽子好きでしょ。ずっとキャップかぶってるイメージだから、冬用にいいんじゃないかな、と思ってさ」
松本は、俺の両頬に手を添えて、耳あての位置を調整してくる。
……いや、向き合って、この仕草は、照れるんだけど!