第5章 白虹
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誕生日当日は普通に学校だが、松本は、下校時そのまま俺のうちにきて、一緒に過ごすことになっていた。
好きな人と一緒にいれる誕生日なんて初めてだから
、何日も前から、俺はとても楽しみにしていた。
けど、浮かれてるなんて、知られたくない。
そこは年上の余裕をみせなきゃね。
そう思って、普通の顔を心がけてたんだけど。
「大野さん……?どしたの?」
「え?」
「具合悪いの?」
「い……いやいや全然」
「そう?……俺行っても大丈夫?」
「大丈夫だよ。なんで?」
「な……なんか、表情がなくて心配になった」
…………俺は、ポーカーフェイスもできないのか
戸惑う松本に、心で苦笑いだ。
途中、コンビニによって、今日の夜と明日の朝ごはんを購入することにする。
「ねぇ……大野さん、どのケーキがいい?」
松本がスイーツコーナーに立ち止まり、真剣な顔で吟味しだした。
「え……いいよ。いらない」
「なんで。バースデーケーキじゃん」
「いいって」
コンビニスイーツはそこそこ高い。
二人でポテチ食うだけでも、全然嬉しい俺は、却下する。