第5章 白虹
松本と恋人同士になって、1ヶ月弱たつ。
一緒に登校して一緒に帰って。
ときどき、寄り道して一緒にアイスクリームを食べる。
休みの日は、土日のどちらかは、一緒にでかけて。
ウインドーショッピングや図書館に行った。
本屋巡りもしたな。
そんなひとつひとつが、すごく楽しくて……とても幸せに思う。
心が穏やかになると、顔もかわるのだろうか。
三宅さんたちにも、最近の俺は表情が豊かになってきた、などと、失礼すれすれの言葉もちょうだいしたりするから、よっぽど今の俺はウカレポンチなんだろう。
だけど……ちょっと物足りないと感じるのはぜいたくな思いなんだろうな。
俺は、風呂上がりの髪の毛をタオルでかきまわしながら、オレンジジュースの入ったマグカップを手に取った。
恋人になった日以来、キスはおろか手も繋いでなかった。
今日……映画館で久しぶりに彼の体温を感じて、とてもドキドキして嬉しかった。
大事にしてくれてることが分かるだけに、もう少し近づきたいと思う自分は……ハレンチなのかな。