• テキストサイズ

Attack 《気象系BL》

第5章 白虹



Satoshi



不意打ちだった。

松本の手のひらが俺のこぶしを、ふわりと包んだ瞬間、心臓がドキリと跳ねた。


「……!」


そのまますごい勢いで、加速度を増す心臓に息苦しさを感じつつ、暗闇のなか、思わず松本を見上げると、……やつは、まさかの知らんぷり。


なに……?


すると、しばらくして、松本の温かな大きなてのひらが、俺のこぶしを開き……やや強引に指を絡めてきた。


「……っ」


俺は、もう頭がパンク寸前だ。

愛のないビジネスの交わりや、むつみあいを強要させられ、それが常だった俺には、……こういう温かさに慣れない。


そうだよね……俺たち恋人同士だもんね……



いとおしささえ感じられる松本の手のひらの温もりに、応えるように。
俺はそっと自分の指を絡めた。


松本の握る手に少し力が加わった。

…………俺もほんの少し握り返した。


心がふうわりと温かくなる。


それから映画が終了するまで、ずっと手を繋いでいた。


もちろんだが、途中から映画の内容は頭からすっかりとんでしまっていた。
/ 725ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp