第5章 白虹
美味しいお茶とクッキーをご馳走になり、お礼をいって雅紀さんの家を出た。
雅紀さんには、夕飯まで食べていけばいいのに、と残念そうにいわれたけど、夕方から上映する映画を観に行く予定にしてたから、二人で丁寧に辞退した。
「間に合うかな……?」
雅紀さんの家が居心地がよすぎて、ついつい長居してしまった。
不安そうにスマホの時計を確認する大野さんだが、俺は頭で到着時間を計算して、大丈夫、と安心させるように大野さんに笑いかける。
うん、と嬉しそうに笑いかえしてくれる大野さんは、身悶えするくらい可愛い(二回目)。
自分が、やばいくらい、大野さん、という沼にはまってることを自覚する瞬間だ。
あれだけ焦がれた人が自分の隣にいてくれる幸せ。
スキップしかねないほど気分がウキウキする。
これから観ようとしてるのは、昔からあるハリウッド作品のシリーズの最新作。
恋愛作品は寝てしまうという大野さんと、アクション大好きな俺の好みがバッチリあう作品だ。
前から観たいねといっていた作品だが、まさかここにきて、映画鑑賞が、デートコースのひとつとなるとは思わなかった。