第5章 白虹
俺たちがつきあいはじめたことは、俺は兄貴に、大野さんは雅紀さんに……それぞれ、伝えた。
これまで幾度となくお世話になり、協力もしてきてくれた二人だから、それは礼儀だと思ったからだ。
雅紀さんは、とても喜んでくれたそうだ。
……兄貴も、とても優しく笑ってくれた。
マイノリティな関係性は、時に思わぬ場面で傷ついたり、お互いの誤解を生むかもしれない。
だから、常に風通しのよい関係でいなくてはいけないよ、とは雅紀さんのアドバイスだ。
プライベートを何もかもをさらけ出す必要はないけれど、最低限の情報は、共有すべきだ、とは、兄貴の言葉。
……まぁようするに、二人からは、仲良くしろよって応援されたということだ。
理解者が近くにいるというだけで、安心感は半端ない。
あまり、関係を言いふらすことではないのは分かってるけど、認めてほしい思いもあるのは確かだから。
雅紀さんは、コーヒーをカップに注ぎながら、にっこりと俺に話を振る。
「つきあってる智はどう?」
「可愛いですよ」
「なんて呼んでるのかい?」
「……おおのさん、です」
「他人行儀だなぁ。名前で呼んじゃいなよ」
「いや……それは」
「あのさぁ!二人とも俺抜きで話を進めないでよ!」
大野さんがプンプンして割り込んでくるのが可愛い。