第4章 夕虹
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Satoshi
朝から降り続いていた冷たい雨は、昼過ぎにはやみ、太陽がゆっくり顔をだした。
赤や黄色に色づいた木の葉にかかった雨の雫を、キラキラと陽の光が彩る。
俺は体育のときにつかったタオルでベンチをふき、座って空を見上げた。
秋特有の高い高い空。
「きれーだなぁ……」
雨で空気中の埃もおちてしまったのか、空気はとても澄んでいた。
寒くもなく暑くもない、絶妙の気候。
夕方近いとはいえ、日向ぼっこするには十分な日だまりのなか、そっと目を閉じた。
あの日。
俺が裏をすっぽかした客は、お得意さんだったみたいで少々ごねられたようだが、後日、店長が返金分プラス迷惑料を少々上乗せしてやったら、機嫌はなおったらしい。
すみません、と謝る俺に、店長は、
『特殊な仕事だ。心がついていかなくなった時点で、辞めてもらってもかまわないと思っていた』
と。
それはバイトをしてる子達全員に共通することである、と、優しく言われ、俺は心から感謝した。
KINGは、土曜日の夜だけ入っている。
長野さんや三宅さんは好きだし、リョウスケとの繋がりも大事にしたいから。
ただ……酒は飲まないようにしてる。