第4章 夕虹
「……嫌わないよ」
俺は、絞り出すように言った。
届いて。
必要以上に自分を否定してしまう大野さんに。
遠慮して遠慮して自分の想いを封じ込める大野さんに。
「悪いけど……俺、あなたのこと大好きだから」
「…………」
「大野さんが、嫌だっていうまで、好きであり続けるよ」
「………やだなんて…いわない」
ふふっと笑って大野さんが俺を見上げた。
泣きすぎてショボショボになった瞳が弧を描いた。
……やっと心から笑ってくれた。
胸がいっぱいだ。
「…………」
俺は、引き寄せられるように首を傾け、大野さんに顔を寄せた。
大野さんが、応じるように顎を少しあげた。
二回目のキスは、すぐに離れた一回目と違い、長く重ねた。
お互いの唇の柔らかさを感じて、温かさを感じて……離れて、笑って……またキスをした。
バカみたいに何回もキスをした。