第4章 夕虹
「……その話。雅紀さんにしたことある……?」
「ううん……」
大野さんが俺の胸に額をこすりつけてかぶりを振る。
「ちなみに……裏のバイトのことは雅紀さんは……」
「知らない。知られたら怒られるじゃん」
「だよね」
俺は、頷いた。
大野さんは、雅紀さんのこと……ちゃんと分かってない。
それとも、これは第三者だから、みえることなのかな。
俺は、自分の意見を語った。
「ねぇ……大野さん。雅紀さんはほんとに大野さんのことが大事なんだよ。お金だって、彼がやりたいからしてることだと思うよ」
「…………」
「そこは……遠慮しなくていいんじゃないかな…」
「でも……」
「返したいなら、立派に独り立ちしてからでも遅くないよ。雅紀さんをご飯に連れていってあげてもいいし、飲みに誘ったりとかしてもいい。そういう形で、感謝の気持ちを返すことで、雅紀さんはとても喜んでくれる……俺はそう思うよ」