第4章 夕虹
「言いたくないなら言わなくていいけど……できれば、俺は知りたいな」
俺は、正直な気持ちを伝えた。
「……」
「その方が……大野さんがこのバイトをしてた本当の理由を知れた方が……さ。俺は、何も知らない状態より大野さんを、より受けとめれると思う」
「…………」
「……どう……かな?」
黙りこくってる大野さんの背中を、そっと擦り続けた。
大野さんは、俺にしがみついたまま、じっと口をつぐんでいたけれど、やがて小さく、
「金が……欲しかっただけなんだ」
と、言った。
「お金?……どうして?KINGだけじゃ……生活できなかったの?」
「ううん……生活は雅紀さんが全部面倒みてくれてたから問題なかった。でも……俺は、逆にそれが申し訳なくて……」
「…………」
「俺の死んだ父ちゃん、雅紀さんの恋人っていったでしょ……普通はさ、そんな死んだ恋人の子供にお金なんか出せないよね?」
「…………」
俺は、ひたすら黙って話をきいた。
兄貴の推理がドンピシャだったことに驚きながら。