第4章 夕虹
ホッとすると同時に、腕の中の小動物のような温もりを改めて感じて、急速にドキドキしてきた。
俺、どさくさまぎれに、また大野さんと抱き合ってる。
これ……セーフかな……?
いい匂いのする髪の毛に、ぴたりとくっついた胸に、……思わずよからぬことを考えてしまいそうになる。
だって、健康な男子だもん。
だいたい今の話を総合すると……大野さんも俺のこと……ってことだけど。
それはどれくらい?
お友達として好きっていうレベルからどれくらい上?
今までの、大野さんの行動や表情なんかで、俺は嫌われてはいないだろうという自信はあったけど……果たして俺と同じ熱量なのかどうかは、正直、謎だ。
このままだと、モヤモヤしたままだと想って、
「あの……大野さん」
俺は恐る恐る聞いてみた。
大野さんが、俺を見上げる。
目尻が赤くて、可愛い。
「……両思いって言ってくれたけど……その意味わかってる?」
「意味?」
「俺の好きは……大野さんと恋人になりたい好き、だよ……?」
同性の恋はいろいろと障害が多いだろうということも含めて、確認すると、
大野さんは、ふっと笑んだ。
そして次の瞬間、のびあがった大野さんの唇が、俺の唇にあわさった。