第4章 夕虹
………………。
俺の頭は、文字通り真っ白になった。
大野さん……両思いって言ったよね?……今。
呆然としてる俺を見つめて、大野さんはそのまま淡々と語った。
「俺は……こんなバイトして金稼いでる。お前の想像を越えることも……たくさんしてる」
「……う……ん」
「普通の人ならひく。だから、人に好きになってもらう資格なんて……ないと思ってた。ずっと」
「…………」
「けど……昨日お前に怒られて……」
みくびるな、の、くだりのこと…かな…?
俺が黙ってると、大野さんは少し笑った。
「俺……俺も人を好きになってもいいのかな……って一晩中考えたんだ」
一睡もしてないから、結局学校サボっちゃったんだけど、と、言う大野さんの言葉に、今日の大野さんの欠席理由を知る。
……俺を避けた訳じゃなかったんだ、と、その部分だけホッとした。