第4章 夕虹
大野さんが、うつむいて首を激しく振る。
「………う……」
さらに、泣きながらも声にならない声をあげて、手を無茶苦茶に振りほどこうとする。
なんか俺、大野さんに逃げられてばかりだな……
思いながらも、なんだかこの手を離しちゃいけない気がした。
泣いてる大野さんを一人にしちゃダメだと思った。
俺は強引にその腕を引っ張り、胸に抱き込む。
キャップがおちて、くしゃくしゃの髪の毛が頬に触れた。
俺はどさくさまぎれに、あったかい体を夢中でぎゅうっと抱き締めた。
「……大野さん落ち着いて」
「ば……おまえの……せい……」
「……え?」
「おまえの……っ……せいっ……で」
しゃくりあげてる大野さんは、俺の背中をがりがりかいて、なにやら訴えてる。
……俺の……せい?
「…………なに?」
「おまえっ……がっ……あんっ……なことゆーから……!」
…………あんなこと
「ぅおっ……俺っ……も……バイトできなっ……」
バイト?
何を言ってるのかいまいちわからないが、俺がかんでることは確かのようだ。