第4章 夕虹
窓の外を凝視しつつ、スマホをいじり、ラテを飲んだりして……半時間ほど経過した頃だ。
…………!
心臓がとくんと跳ねた。
黒のキャップを目深にかぶり、風に身を縮めるようにしながら、早足でエントランスホールにすべりこんでゆく小柄な人物。
…………大野さん
こんな遠目じゃ、体調がどうかなんて、わからないけど、少なくとも外を出歩けるだけの体力はあるってことだ。
ちょっとだけ、ほっとする。
食べれなくて寝れなくて、ダウンしてたわけじゃなかった。
だけど……
俺は唇をかむ。
でも、もっといえば、今から知らない誰かと寝ることもできるってことだ。
……じゃ、学校休んだのはなんでだったのか。
……やはり俺に会いたくなかったのかな……。
俺は、思い至った結論に、どよんと落ち込む。
自分で墓穴掘ってりゃ世話ない。
窓ガラスには、俺の情けない顔が反射してうつってる。
見ていられなくて、俺は目を瞑り、残りのラテを飲み干した。
……帰ろ